中国人にとって食事をすることは最も重きを置くべきことで、昔はあいさつ代わりに「ごはん食べた?(吃了吗)」と言ったものです。
日本人と会って話をしていると、別れ際によく「次はご飯を食べに行きましょう」と言われます。ご飯に誘われると中国人はそれを本気で捉えます。スケジュールを確認して日程を調整し、相手からの連絡を待ちます。ですが、こういった類の食事の誘いは往々にして立ち消えになってしまいます。中国人がこういった状況にかち合ったとき、その大多数がすっきりしない気分になると言います。
あとになって分かったのですが、この「次はご飯を食べに行きましょう」という日本語のセンテンスは、中国語でいう「機会があればウチに遊びに来てください(有时间来家玩)」に相当する社交辞令らしいのです。ですが、一般的に中国人は「次はご飯を食べに行きましょう」を社交辞令として受けとることができません。この文句は言葉そのままで、それ以上でも以下でもないのです。中国人を相手に「その場を切りあげるときの定型句」として使うなら、別の言い方を選んだほうが賢明かもしれません。