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 10月4日から15日まで開催されている「黄檗文化展」を紐解く多彩な講座が行われた。
 
 シリーズ講座の第一弾とし10月5日には黄檗文化講演会と、煎茶道黄檗売茶流茶会を開催。
 

講師の中澤弘幸氏(煎茶道黄檗売茶流先代家元)

 
 講師の中澤弘幸氏(煎茶道黄檗売茶流先代家元)による講座では、黄檗文化の起源や、どのように日本の社会に影響を与えたかについて解説。特に江戸時代にもたらされた黄檗文化による日本社会への功績は計り知れず、土木建築、飲食文化、教育、漢字、日本の年号等、広い分野において与えた影響とその発展について触れた。
 講座終了後には、一般社団法人 煎茶道黄檗売茶流による煎茶道黄檗売茶流茶会が行われ、聴講者の前で黄檗売茶流の煎茶の独特の美学や作法が披露され来賓や聴講者に玉露が振る舞われた。

 



 

 10月7日には講師に武井欲生氏(日本古琴流家元)を招いて「中国から伝来”古琴”を知ろう♪~琴曲演奏・鑑賞~」を開催。
 中国から日本に伝来した黄檗文化のひとつである古琴の起源と歴史について「古琴は3000年以上の歴史があり、中国の伝統楽器として世界無形文化遺産に登録されている。古琴の発明は、伏羲、神農、阮籍、蔡文姬など、伝説的な人物と関係づけられている。古琴は奈良時代に伝来し、七弦琴と呼ばれた。平安時代になると当時の天皇自ら古琴を演奏するようになり、貴族たちに愛されるようになった。また、源氏物語や万葉集にも古琴の記載があり、その歴史は古い」と解説した。
 

講師の武井欲生氏(日本古琴流家元)

 
 10月12日には,講師に内藤香林氏(大雄山西圓寺住職 )を迎えて「黄檗画像の技法」の講座が行われた。黄檗文化にまつわる歴史に触れながら、自身の作品の制作工程の画像を披露し、技法の詳細を解説した。
 歴史の解説部分では、「1654年、先に渡日していた興福寺住持の逸然性融の要請を受けて、隠元禅師は弟子や絵師らと共に渡来し、黄檗宗の開祖だけでなく、明清期の文化と先端技術を伝え、様々な分野で日本社会に多大な影響を与えた。その一つに絵画があり渡来した中国絵師たちは、ヨーロッパと中国の芸術形式が融合した技術をもたらし長崎絵画を大きく発展させ、長崎画壇の六大流派になった。その中で中国の古代肖像画技法の「工華蕃画法」が黄檗派に伝わり喜多宗雲と喜多元規に継承されたが、この技法は江戸後期には失われた」と述べたが、近年内藤香林氏が工華蕃画法の復興に取り組んでいる。
 講座終了後には内藤氏による揮毫が行われ、達磨大師を描いた。この模様はオンライン中継もされ、数千人がライブ中継を楽しんだ。

 

講師の内藤香林氏(大雄山西圓寺住職 )



 今回の福建省文化年・第三弾「一脈伝承——黄檗文化展」は約30社にのぼる多くのメディアに取り上げられた。


期日: 2021/10/04 〜 2021/10/15
時間: 10:30〜17:30
会場: 中国文化センター
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