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講師:潘公凱     使用言語:日本語・中国語
 中国の著名な芸術家、芸術教育家、美術理論家、建築都市デザイナー、教授、博士課程指導。中国美術家協会副主席、国家クラスの傑出した貢献をした専門家、国務院より政府の特別待遇を受ける。第九、十、十一回全国政治協商委員。90年代より、近現代美術史と建築都市デザイン、芸術管理学の3つの専攻博士課程を指導。中国の最も重要な2つの美術大学大学院の院長を歴任(1996~2001年杭州の中国美術学院、2001~2014年北京の中央美術学院)学院を発展させた。2010年上海世界博覧界の中国国家館の展示総合デザインを担当。
 
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 「境界を越えるー融合」とは、潘公凱教授の活動の主要なテーマである。彼は芸術の境界を越える創造と実践を行ってきた。水墨画の伝統から出発し、インスタレーションの創作、建築デザイン、服飾デザイン、さらに中国美術史の研究等、その活動はジャンルを超えている。彼はこう主張している。「学術は境界を超えるものだ。学科が互いに交流しあうことで、未来の重要な発展の方向が生まれる。境界を越えるためには、学科の専門的研究の精度を高めることを基礎とし、浅くなることを避けなければならない。学科の専門研究の精度が、境界を越えた研究の層の深さと成果を決定する。」
 
 伝統の中国画の現代への転換、それが、ここ百年来の中国美術界の核心となる課題である。長年に渡り、潘氏は中国画の筆墨の研究に深く打ち込み、伝統の基礎を継承しながら、中国画の特色を具えた現代水墨画の進む道を探ってきた。彼の水墨作品はただサイズが巨大であるだけではなく、スケールが壮大で、格調が高く優雅、深遠な意境が備わっている。そこには、伝統の文人画が持つ筆墨、書の筆法の揮毫の妙味、流麗で実直、精妙な趣が感じられる。また、現代の建築空間に展示されても互いに調和しあう空間を生み出し、独特の現代的な美的感性と魅力を持っている。中国伝統の大写意水墨を現代に活かした代表、典型となる創作と称賛されている。
 
 80年代より、潘氏は西洋の現代芸術の境界という問題を考え続けてきた。インスタレーションの実験的創作を開始し、90年代初めには論文『西洋現代芸術の境界を論ず』を書き上げた。その中で、中国と西洋の芸術の二大体系は「互いに補い合い併存するもので、双方は深く入っていくもの」と主張し、中国美術界に大きな影響を与えた。また、中国美術学院と中央美術学院の学院長を長期に渡り務め、さらに建築デザインの分野では数十のランドマークとなる設計に参与し、建築への関心を啓発した。彼の建築デザインは、芸術的理念と壮麗な美との融合である。
 
 学院長として、彼は美術事業の発展のために何をすべきかを考えてきた。20世紀の中国美術の基本となる問題は、現代性の問題、すなわち、中国の現代美術とは何か、という問いである。1999年から10年をかけ彼はこの問いに取りくみ、著『中国現代美術の路』を書き上げた。この豊かな成果は人文社会の学界に大きな影響を与えた。彼の境界を越えた研究は、伝統的中国画の現代への転換の問題、西洋の現代美術に内在する構造の問題、建築等の学科の発展の問題、中国の20世紀の美術の現代性の問題など、現在の中国美術界のいくつもの問題に渉っている。
 
 

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