展示期間 2018年3月5日(月)~3月9日(金)
中日平和友好条約の締結から40周年を迎えるこの年に、中国文化センターで「水暈墨彰 卓民水墨画展 中国北宋水墨画の新たなる継承」を開催します。
卓民氏(日本名:大竹卓民)は1958年に上海で生まれ、30年前に日本留学で日本画を専攻し、仏教美術や南北朝・隋唐時代の絵画技法ならびに様式を研究しました。2000年には「岩彩絵画」という岩絵具をメディアにした様式の作品を発表して、中国美術界に一石を投じました。さらに卓民氏は、中国絵画史において五代・北宋時代の制作型水墨画と元時代以降の文人的な自娯型水墨画との違いを指摘し、精神性よりも水墨画の造形要素に回帰することこそが、水墨画を現代化する道筋であると説いてきました。そうした卓民氏の水墨画は、現在の中国で流行している文人水墨画と一線を画しています。北宋時代の気魄宏大、呑吐雲霞な水墨画を土台にしつつも、独自の読解と再構築によって複合的な制作型水墨画を確立しています。今回の展覧会では、縦186cm幅900cmの大作を含む意欲作が数多く展示されます。是非、卓民氏の水墨世界をご高覧下さい。
《日月山水図》 186×900cm(部分)
岩野平三郎がつくった麻紙との出会いも、卓民氏の幽玄深遠な制作型水墨画誕生の契機になりました。繊維が長く丈夫な麻紙は、附立ての爽快な筆跡やたらし込みの墨痕水跡が綺麗に現われるばかりでなく、繰り返し筆を置いていく制作工程に適しています。
《晨露披月》96×372cm
日本においても、室町時代の雪舟、江戸時代の狩野派や琳派の絵師たち、近代では横山大観らがそれぞれの時代に適した水墨画の現代化を試みてきました。水墨画の伝統は、継承と革新の連続によって紡がれてきたのです。独自の発想で水墨画の古典を読み解き、新たな技法を展開する卓民氏は現代における水墨画の継承者といえるでしょう。
模写《宋•雪竹文禽》25.5×35cm
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