「古磚」には、歴史上に点在された過去と脈流、古拙奔放な中国民族の風土が隠されており、その当時の古人の精神的な姿を記録し、千年に渡る漢字古韻が滔々と流れています。
その古磚の長い歴史上にある「書道の変化」には、常に民衆の文字使用の実現における簡便な需要と、美化の追求の誘導過程を垣間見ることができます。
古磚文字は、両漢から六朝、東西晋時代に渡って栄え、それは丁度書体や筆法の変化が最も激しい時期に当たっています。故に古磚文化は他の方面には及ばない地位に位置付けられ、民間書道と摩崖刻石、碑刻、簡牘、璽印、銅銘、瓦當、陶器などの異なる時期の異なる媒体上の文字と一緒に、中国書道史の構成に反映されています。
また書体の重大な変化も古磚文字からみることができます。それと同時に史学上における思想史、書道史、文化史等を「古磚」を通して研究しうる重要な文字根拠をも含んでいます。古拙と率真の美しさを持つ古磚文字は、すでに現代書道や篆刻の創作に於いても重要な源泉となっています。
古磚の魅力として、「簡帛」「璽」との異曲同士の“妙”が反映されていること。また、極端な変形は装飾美に富み、規範の厳格さの中にも素朴さや柔軟性もみられます。漢字の研究を進めていく中で古磚は貴重な実物資料と変貌してきたのであります。
天（自然）と仲間になり、古（いにしえ）の弟子になります。これは如何なる書学習者が行うべきことであります。天からその摂理を観て学びます、古からその変還を観て学びます。古磚文字の中には極めて大事な手本と参考が秘められています。
また現在の学者達は、古磚学の概念を産み出し、碑学、金石学、甲骨学、簡帛学に続く古磚学、古文字研究等の領域をも広げるに至りました。
民間書道は文人書道の先導でもあるため、書学者の注目と深い思索を引き起こさずにはいられなく、古磚文字から多くの深淵な知見、見識を会得することができます。
私達は2014年に、所蔵の秦から唐代までの摩崖刻石、刻碑の中国書道拓本展を開催し成功を収めた。そして六年後の本年、永い年月をかけ古磚及び拓本の中から、実物古磚15点と、古磚拓本500点を厳選し、「古磚実物」「刑徒磚拓本」「吉語磚拓本」「記事磚拓本」「紀年磚拓本」「画像磚拓本」の六つのカテゴリーに分類し展示するに至りました。皆様のご来場を心よりお待ち申し上げます。
