宮田雅之は中国伝統工芸の「剪紙」技術を基本に、伝統的古典性と創造的現代性を独特の感性で融合させ、一本の刀で和紙を切り上げる「刀勢画」という新たな絵画ジャンルをその生涯を通じて確立させました。作品は日本独特の美学から、中国文学や文化に及び、特に中国を代表する「三国志」「史記」「水滸伝」「唐代伝奇」など古典を題材にした制作においては、物語を徹底的に読み込んだ上に、独自の視点で、最も感動的な瞬間をつかみとり、日本文学とは異なるスケールの大きさを中国の歴史文学に次々と見出し、原作とは異なる宮田雅之のオリジナルの場面表現で描きながらも、人物の精神性までが伝わる卓越した作品を数多く制作しました。
1997年には中日国交正常化25周年を記念し上海で開催された「宮田雅之芸術展」においては17万人が来場し大成功を収め、日本や中国をはじめ世界的にも非常に高く評価されてきました。生前、上海の個展の際に「新たなる世紀に向けて、日本と中国は、まず国家的友好の基盤のもとに、あらゆる文化芸術の交流と発展をはからなければなりません。その一端を担う小さな芸術の架け橋となり得れば、私にとって望外の喜びとするところです。」という言葉を遺しております。
中日国交正常化50周年という大きな節目に際し、中日の友好と交流に多大な貢献をされた宮田雅之の精神を再発見すると同時に、作品を通して次世代の中日友好と両国の発展を祈念する展示となっております。 2022年8月30日~9月8日(土日休館)