中国の伝統的な服飾は周の時代に官職用として導入され始まりました。以来時代の流れとともに変化と発展を遂げ、民族的特色と仕立てに対する独自の理念を形成してきました。そうして受け継がれてきた服飾文化は、中国文化を構成する重要な要素の一つと言えます。清朝末期以降多元的な文化が中国に流入すると、当時の対外貿易港の一つであった天津では、様々な民族の服飾様式が交じり合い、洗練され、服飾文化の新しい時代を迎えました。国内外に著名な天津のチャイナドレスはまさにこの時代に誕生したのです。中国様式の特徴として千年にわたり受け継がれた伝統的裁断方法である「連袖」(袖と身頃が繋がっていて、一枚の布から作られたもの)が、西洋の立体裁断との出会いによって、多様な仕立て方法が考案され、新たな中国様式を生み出しました。
本展では天津のチャイナドレスや、中国様式の男性衣装、婚礼衣装、靴などを展示致します。見た目に美しい服飾としてだけではなく、文化の粋を内面に織り込み中国人の美意識を具現化してきた服制文化と相まってそこに凝縮された中国の美を紐解く展示となっています。
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