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 悠久の歴史を持つ中国民間の刺繍芸術は、練達した職人達の素晴らしい腕により、その題材は幅広く、内容も豊富です。絵柄の多くは、吉祥を表し、構図が簡潔、素朴で、色彩は濃厚で鮮やかです。誇張された活気に溢れるデザインには、中華民族の豊かな感情が反映されています。10月8日から、東京の中国文化センターで、「彩縷繡吉祥–恭王府館藏民間刺繍芸術品展」が開幕する。同特別展は中国文化と観光部恭王府博物館と中国文化センターが主催、人民網日本株式会社が共催する。
 
 開幕式には中国駐日本国大使館文化参事官の石永菁氏、外務省アジア太洋州局中国モンゴル第一課地域調整官の井川原賢氏、日中友好会館常務理事佐藤重和氏、日中友好協会常務理事の永田哲二氏、中国駐東京観光代表処首席代表の王偉氏、東京華僑総会会長の林斯福氏、東京都日本中国友好協会理事長の栗山真之氏、青梅日中友好协会会長の木下正和氏などが出席し開幕を祝った。
 
 中国文化旅游部恭王府博物館の辺偉副館長の説明によると、同特別展では、中国文化・旅游部恭王府博物館が所蔵している近代の民間刺繍作品約100点が展示され、刺繍布片、ケープ、巾着袋、耳当て、子供用キャミソールなどの日用品、衣類などがメインとなっており、洗練された様々な技法を使って製作された作品ばかりで、民間の刺繍職人の知恵と技術を見ることができる。多種多様な縁起の良い模様には、多くの歴史的、文化的メッセージが込められており、中華民族が精神的なものを追求し、生活を楽しんでいる様子を垣間見ることができる。数十年かけて收集されたそれら刺繍作品の一部は非常に貴重な伝世品だ。また、四大刺繍と呼ばれる江蘇省蘇州の「蘇繍」の技術を伝える際に使われる実物教材も展示されており、高い芸術的価値があり、中国の人々が抱く、素晴らしい手工芸の技術を伝えたいという気持ちと、そのための知恵が反映されているほか、近年、中国の優秀な伝統文化芸術の保護や伝承に力を入れて取り組んでいる恭王府博物館の成果もPRされている。

辺偉副館長

 
 中国駐日本大使館文化処の石永菁参事官は今回の展覧会を高く評価した。石参事官は、「恭王府が日本で展覧会を開催するのは今回が初めてで、非常に喜ばしい。日本では、刺繍や刺繍布片の展覧会が非常に多いが、今回の展示品には非常に特徴があり、いずれも清代末期から民国期のもので、質が極めて高い」と述べた。最後に、石参事官は開幕式に臨席した来賓に対し、「恭王府には古い舞台のほかにも匠の技で作り上げた景観があり、内部が非常に美しい。来賓の皆様に恭王府を訪れていただき、中国の悠久の歴史が内包する豊かな文化を実感していただきたい」と述べた。
 

石永菁参事官

 
 公益財団法人日中友好会館の佐藤重和常務理事は挨拶のなかで、「今回展示されている貴重な刺繍作品は100点以上あり、収集するには数十年かかる。こうした貴重な刺繍作品を鑑賞できるのを楽しみにしている。これらの非常に華麗な刺繍作品から、中国の悠久の歴史と文化の幅広さと奥深さを感じることができる」と述べた。
 

佐藤重和氏

 

テープカット

 
 10月9日午後、特別展の会場では「十指春風、技と芸は神業のごとく——中国民間刺繍芸術」と題する講座も開催した。講師は中国芸術研究院の研究員で、博士課程の指導教員である孫建君氏だ。孫氏は、今回の展示品の元所蔵者でもあり、数十年にわたり、中国各地で、民間工芸美術調査・研究を行い、高い芸術的価値、文化的価値を持つ紡織作品、刺繍作品をたくさん収集してきた。
 

講座

 
 特別展を主催する中国文化と観光部恭王府博物館の所在地である恭王府は、美しい景色が広がる北京の什刹海地区、明清朝の旧王宮・紫禁城の北西に位置する。第6代皇帝・乾隆帝の臣下の和坤(わこん)の私邸として1780年ごろに建設された恭王府は、道光帝の第6子・恭親王(1833—1898年)に下賜され、その後の皇族もそこに住むようになったことで、「恭王府」と呼ばれるようになった。精巧な技術を駆使して建設された恭王府の形や作りからは荘厳な雰囲気が漂い、装飾は非常に豪華。中国で保存状態が非常に良い清代の王府としては、唯一一般公開されている。その建物は、中国近代の歴史の沿革と変遷を反映し、中国の清代王府文化の代表だ。現在、国家一級博物館に認定されている恭王府は、特色が鮮明で、民間に根を下ろし、遺跡上にある王府文化を研究、展示、PRの中心とするコミュニティ博物館へと発展させることに力を入れている。そして、歴史・文化遺産の保護や清代王府文化研究、また、中国の優秀な伝統文化の研究、展示、継承のために不可欠なプラットフォームを構築している。
 

恭王府博物館


期日: 2019/10/08 〜 2019/10/18
時間: 10:30〜17:30
会場: 中国文化センター
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