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 9日午後、東京では霧雨がしとしとと降る中、中国年画の民俗文化専門家である三山陵先生による「中国近代化を象徴する上海年画」の講演会が行われた。40名余りの中国文化愛好家が中国文化センターに集まり講演に出席した。
 
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講演会場

 
 三山陵氏は埼玉大学大学院を卒業し博士号を取得。首都大学東京、埼玉大学、大東文化大学などで非常勤講師を務め、中国文化を教えている。かつて『フルカラーで楽しむ中国年画の小宇宙―庶民の伝統藝術』などの著作を出版した。『中国木版年画集成・日本蔵品巻』の主編者でもある。
 
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三山陵氏年画を解説

 
 上海旧校場年画は現存するものが少なく、大変貴重なものである。まさにこの春節の期間、中国文化センターでは「歓楽春節・上海旧校場木版年画展」を開催している。三山先生は伝統的な年画について簡単に紹介した後、旧校場年画の特徴について重点的に解説した。上海旧校場木版年画の興隆や題材・画風は、アヘン戦争後に上海が開港し西洋文化が中国に入ってきたという歴史と密接に関連している。
 
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春節年画展を参観する聴衆

 
 三山先生は地図や歴史写真などの資料を用いながら、聴講者にわかりやすいよう時間の流れに沿って近代上海の略史を整理し説明した。続いて年画の中に表現されている細部について解説することで、旧校場年画が時代の移り変わりの中でさまざまな要素が結びつき関連し合いながら発展してきたことを具体的に明らかにしたのだった。当時は識字率が低く、通信手段や娯楽などもまだ発達していない時代であったため、視覚的に社会の風景を伝える年画は一般大衆の間に民間芸術として流行した。年画の中には旧式のカレンダーも見受けられ、さらには西洋暦と日曜日も刷り込まれている。また、上海―蘇州の鉄道の開通やサーカス団の公演など様々なシーンが描かれているものも展示されていた。
 
 日本の学者として、三山先生は日本の聴講者らが講演内容をより理解できるよう、同じ版画として日本の浮世絵も参考に引用した。講演終了後も、多くの聴講者はその魅力の余韻が冷めやらず、三山先生と交流しようと、ある者は先生の著書の読者で、本にサインを求めたり、記念に一緒に写真を撮ったりと、互いに打ち解けあい和やかな雰囲気に包まれた。


期日: 2017/02/09 〜 2017/02/09
時間:
会場: 中国文化センター
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