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中国政府国務院は「中国非物質文化遺産日」(中国の無形文化財の日)を2006年に制定しました。毎年6月の第二土曜日がこれにあたります。
 
1998年、ユネスコ執行委員会における「人類の口承及び無形遺産に関する傑作の宣言」規約採択以来、中国は積極的にそのリストを提出し続けました。そして2001年から順に、昆曲、古琴(こと)、新彊ウイグルのムカム(大曲)、モンゴル族オルティン•ドーが傑作宣言されました。さらに2004年にユネスコ「無形文化遺産保護条約」を締結しました。
 
中国国内でこれらのニュースは自国の文化財の現状を浮き彫りにしました。すなわち、生活の急速な都市化・現代化により後継者が激減している問題や、無形文化財の保護がおろそかにされている点です。こういったことを中国国民に改めて認識させ、大きな議論を巻きおこしました。
 
中国は文化財が多いだけでなく、無形の文化財も非常にたくさんあります。多くの人がユネスコの「傑作宣言」だけでは不十分であると考えました。国が保護プログラムを実施する必要があることはあきらかだったのです。こうして「国家非物質文化遺産登録プログラム」が始動しました。登録される内容は、 民間文学、音楽、舞踊、美術、民芸、戯曲、曲芸(鼓楽、漫才、語り等)、雑技、伝統医学、民俗習慣など多岐にわたります。このなかから 文物 (文化財) 、 非物質文化遺産 (無形文化財) 、 伝承人 あるいは工芸美術大師(人間国宝)を 国・省・市・県の政府がそれぞれ選別し認定します。 よって保護の等級は国家レベル・省 レベル ・市 レベル ・県 レベル の4段階に分けられていることになります。
 
国務院が「第一次国家非物質文化遺産リスト」の選定を行った2005年7月から2006年4月にかけて、全国31の省、自治区、直轄市そして香港、マカオから1300件以上の申請が殺到しました。 そして2006年5月20日発表のリストでは計518件が認定されました。今日までにリストは 3回 発表されており、現在は第四次リストがまさに選定中です。
 
また中国国内のリストだけでなく、ユネスコの代表一覧表にも多数の記載がされています。2009年以降は中国の印象彫刻技術、中国の活版印刷技術、中国の書道、中国の切り紙、木造建築における中国伝統建築の職人技術、南京雲錦織の職人技術、ドラゴン・ボート祭り、中国朝鮮族の農民舞踊、ケサルの叙事詩の伝統、トン族の大歌、花児、マナス、媽祖信仰と習慣、モンゴル人の歌唱芸術・ホーミー、南音(福建省の器楽)、熱貢芸術(チベット芸術)、中国の養蚕・絹織物の職人技術、チベット劇、龍泉青磁の伝統焼成技術、宣紙の手すき術、西安鼓楽、粤劇(広東オペラ)、羌(チャン)暦年、中国の木造アーチ橋建造における伝統的な意匠と技術、黎(リー)族の伝統的な織物技術:紡績・染色・製織・刺繍、メシュレプ[ウイグル歌劇]、中国ジャンク船の水密隔壁技術、中国の木版印刷、京劇、中国伝統医学の鍼灸術、赫哲(ホジェン)族のイマカンの語り部、中国の影絵人形芝居、福建操り人形師の次世代訓練の戦略、中国珠算・アバカスを利用した数的計算の知識と訓練法、二十四節気:太陽の年周運動の観察によって発達した中国の時間と慣習、以上の項目が「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」および「緊急に保護する必要がある無形文化遺産の一覧表」に記載されています。
 
中国の無形文化財の日が制定されて10年がたちました。現在、中国で無形文化財の保護は高い意識を持ちつつ実践されています。
 

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