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 詹泗記者報道:2月27日、中国国家画院と中国文化センターの共同主催による中国国家芸術基金2015年資金援助プログラム「中国風格-中国国家画院版画作品展」が中国文化センターで開幕した。本展は2017年3月9日まで開催される。

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来日した芸術家に説明をする中国文化センターの石永菁センター長と職員

 

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開幕式前の展覧会場

 
 展覧会当日の午前中、中国国家画院の姜陸副院長、楊越創研部副主任、張遠帆版画院研究員、李東霞版画院研究員、張楠外事弁公室主任ら中国国家画院代表団一行が展覧会場で作品の引き渡し状況や展示のようすを視察するとともに、中国文化センターの石永菁センター長や職員の熱心な対応を受けた。
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開幕式会場

 
 午後3時半、開幕式が予定通りに行われた。中国国家画院代表団一行と石永菁センター長のほか、中国駐日大使館の陳諍文化参事官、日本版画協会の磯見輝夫理事長、日本板画院の鬼塚満寿彦理事長、株式会社手塚プロダクションの松谷孝征代表取締役社長、日本動画協会の高橋英治事務局次長、衆議院議員輿水恵一事務所の藤村達彦政策秘書、日中友好会館の武田勝年顧問、日中友好協会の永田哲二常務理事等来賓と会場に集まった日本版画芸術家や観衆約100名が本展開幕式に出席した。
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主催を代表して挨拶をする中国国家画院の姜陸副院長

 
 中国国家画院の姜陸副院長は開幕式で国家画院を代表して会場の来賓に展覧に関する内容を紹介し、「中国国家画院は中国美術創作研究の権威機関として中国美術事業の進歩をリードし、海外との芸術交流を推進するという重要な任務を担い、創作、研究、収蔵、教育、交流の5つの部門を一体としている。近年、“中国風格-中国国家画院美術精品国際巡回展”プロジェクトが中国国家画院により企画、組織し実施され、アジア、ヨーロッパ、アメリカ、アフリカの各国で展覧会が開催された。出展作品は国画扇面、国画作品、版画作品、書道篆刻の4つに分類され、中国と海外の文化芸術の相互理解と共通認識に積極的な影響をもたらした。」と語った。また展覧会のコンセプトについて、「本展では芸術家14名の版画作品42点を展示しており、観衆がこれら作品から中国芸術家たちの伝統文化に対する伝承だけでなく、彼らが追求する創作の道をも理解してもらえるよう願っている。」と説明した。挨拶の終わりには、「中国国家画院は現在“一帯一路”国際美術プロジェクトを実施している。本展を契機に日本の芸術家が積極的に参加してくれるよう心より願っている。」と話した。
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中国駐日大使館の陳諍文化参事官の挨拶

 
 中国駐日大使館の陳諍文化参事官は本イベントに招かれたことは大変光栄であり、開幕に対して祝賀の意を伝えると同時に、訪日した中国国家画院の芸術家たちに歓迎の意を表した。中国国家画院は中国国家レベルの芸術機関であり、中日芸術の文化交流の役割について、「今年は中日国交正常化45周年であり、この記念する年にこのような高いレベルの版画展覧会を開催することは特別な意義がある。中日両国政府の指導者は今年(国交正常化45周年)と来年(平和友好条約締結40周年)の2年間を利用し、両国国民感情の一層の改善を行い、積極面を拡大し、消極面を抑制することを決定した。この点で言えば文化交流は最も大きな推進的作用をもたらすことができる。中国国家画院はこれをきっかけに日本の芸術界との交流を深め、より多くの中国国家画院の代表団が日本を訪問できるよう願うと共に、日本の友人も中国で画展や交流を行うことを希望する。」と述べた。
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日本版画協会の磯見輝夫理事長の挨拶

 
 日本版画協会の磯見輝夫理事長は、中国版画は世界で最も悠久の歴史を有しており、日本版画の起源でもあると話した上で、「本日は中国国家画院版画作品展を通じて日本の皆さんに中国の現代版画を紹介する機会を持てたことは、版画芸術家として大変期待すると共に非常に嬉しい。版画作品の鑑賞を通して、互いの文化に対する理解と尊重を増進し、両国の友好的発展の促進に良好な推進的役割を果たすと確信している。」と語り、中日両国の版画芸術家たちが引き続き版画文化伝承のという重要な責任を負い、版画文化発展のため共に貢献していくことを願っていた。

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日本板画院の鬼塚満寿彦理事長の挨拶

 
 日本板画院の鬼塚満寿彦理事長は、中日両国は一衣帯水の隣国で、中国文化が日本に与えた影響は大変大きいと話した上で、「本日は同僚と4人で一緒に作品を鑑賞したが、我々は学ぶという意識を持って本イベントに参加した。会場で鑑賞した先生方の作品は心を揺り動かすもので、先生方の版画文化に対する伝承と追求を感じ取ることができ、また作品の中に創作の精神と中国文化の象徴が現れていることを理解することができた。」と述べた。
 小川淳也衆議院議員は本展の成功を祈念する祝辞を送り、中日国交正常化45周年という年に、中国国家画院と中国文化センターが本展を東京で開催することは大変光栄であり、主催と職員に感謝の意を表した。本展が日本国民の現代中国版画芸術に対する理解を深めると同時に、中日芸術及び芸術家間の交流を促進させ、中日の友好的発展への一助となるよう期待を寄せた。

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日本側代表に作品集を贈る中国側代表

 
 来賓の挨拶が終わると、記念品の贈呈式が行われた。中国国家画院創研部副主任で版画院院長助理の楊越氏、中国国家画院芸術委員会の張遠帆委員がそれぞれ日本側の代表に「写意中国-2015年中国国家画院年展作品集」を贈った。
開幕式の最後にテープカットが行われた。中国語と日本語で掛け声が行われるなか、中日の代表がテープにはさみを入れ、開幕式が円満に終了した。

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テープカット

 
 
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中国国家画院代表団と日本版画協会の交流

 
 今回の「中国風格-中国国家画院版画作品展」では広軍、徐匡、阿鴿等最高レベルの画家14名の作品42点を展示している。芸術家たちは版画という芸術形式を借りて伝統の継承を探求し、時代における現代的表現の基礎を築き、現代中国版画の芸術美を表現してその方向性を追求し、中国現代芸術家の文化に対する自信を明確に表しており、海外の観衆からも高い評価を得ている。
 石永菁センター長は、「中国文化センターで開催するイベントは展覧会を主として、毎年30から40の展覧会を1、2週間に一回のペースで行っている。本展の意義は特別で、“日本で展示する中国最高水準の芸術展”である。」と語った。また、「開幕式前に日本の各版画芸術団体と連絡をとったとこと、皆さん大きな関心を寄せていた。本日は日本版画協会、日本板画院及び手塚プロダクションの社長のほか多くの日本の美術大学の教師や生徒が開幕式に出席していた。今後はより多くの一流中国芸術家とその作品を海外で展示できるよう願っている。これは我々の文化的影響力と我が国の全体的イメージの向上に対して、非常に大きな促進的作用となる。」と話した。
 本展作品について中国国家画院版画院の姜陸副院長は、「本展は作品サイズに制限があり小さめのため、全面的に中国芸術家の創作状態を反映することは難しいが、版画の質はサイズの大きさで決まるものではない。本展の作品は“中国の風格”を的確に表現している。」また中日両国の版画創作の差異について、「両国の文化の起源は非常に深く、版画も例外ではない。しかし文化的背景が異なる故、相違点と共通点もはっきりしている。比較すると、日本の版画家は中国よりも早くに個性的創作言語を追求する段階に入っている。両国の版画家は重視する生活の観点と表現方法に違いがある。近年、経済のグローバル化、情報交通手段の発展により、中日両国の青年版画芸術家は創作上、ある程度において画一化する現象が起こっている。しかし中国版画家に言わせると、全ての創作意欲は彼らが生活するその土地を根源としており、差異は異なる文化の魅力を表現し、これは中日両国間の芸術交流の基礎でもある。」と話した。
 中国国家画院創研部副主任で版画院院長助理の楊越氏は魯迅が30年代に提唱した中国新興木版画運動に触れると共に本展が持つ深い意義について、「魯迅は当時最も早く上海で中国新興木版画運動を提唱し、そのなかで学習クラスと展覧交流を企画し、日本の版画家や教育者を多く招いた。例えば上海の内山書店で中国初の版画クラスを開講し、日本の教師を招いた。このように日本の版画は中国近代版画の発展に大変大きな影響を与えている。本展開催というチャンスを借りて中国現代版画を日本で展示できたことは、現代版画交流において更に深い意義がある。これは中日両国の版画創作、交流等分野により広い影響を与えるだろう。」と述べた。

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展覧会会場

 
  1982年、中国国家画院版画院芸術委員会委員、日本版画協会名誉会員の張遠帆氏は日本で版画芸術を学び、東京近郊で「中国現代版画展」を開催したことを振り返り感慨深げに、「当時私の日本の先生が展覧会を見に来た帰りに“中国の版画には欠点がある。それはどれも似ていることだ。”とおっしゃった。今から30年以上も前のことだが、中国の版画は飛躍的な発展を遂げた。今、中日両国版画界は同じ舞台に立って対話をしてしていると胸を張って言える。この評価は私一人の判断ではなく、日本の多くの版画家たちも現在の中国版画芸術が向上、隆盛している時期であり、これは中国の国運の隆盛と切っても切り離せないと認識している。中国には多くの活力の満ち溢れる若者が版画創作に従事していることを羨み、中国の版画芸術家が社会を重視し、広い視野とスタイルを有していることを称賛している。彼らはより多くの日本の版画家に中国版画の良さや学ぶ価値を知ってもらいたいと思っており、昨年彼らは積極的に我々を招聘して交流を行い、今年の秋にも交流を行う予定だ。」と話した。
 もとより中国の版画芸術の歴史は長く、本当に版画創作に従事する芸術家たちこそがその中の様々な経験をより深く悟ることができるのかもしれない。中国国家画院版画院の李東霞研究員は版画創作は苦難であり快楽でもあると語り、「私は版画という観点を用い世界を見ており、版画のように私の考えを抽出し、最も骨の折れる手段で再度芸術を創り出す。このような創作過程は“楽しみもまたその中に”という幸福を享受してくれる。」と話した。中国文化の対外的広報について、「中国文化芸術は世界に向けて歩むべきで、我々は世界を理解すると同時に世界により多くの中国、中国の友好と誠意、中国の優れた伝統文化の伝承と発展における責任を理解してもらわねばならない。」と述べた。
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展覧会会場

 
 本展は多くの日本で版画創作に従事する芸術家を魅了し、国際版画芸術展の選考委員を数多く務めた多摩美術大学の小林敬生名誉教授はその中の一人で、記者に対して自身のイメージする中国版画芸術家の「腕前」は非常に素晴らしく、本展を通じて高い技法のほか、新たな発見があったと語った。「本展の作品はどれも成熟した芸術家の作品で温厚な風格であるが、これらの作品から大変強い表現意欲が溢れており、技法を表現するだけでなく、創作観念を表したいという思いが込められている。」と述べた。また、中国人画家は伝統技法の継承という基礎の上に、それを用いて現代の意義における芸術的表現をすると同時に、伝統技術を改善し豊かにさせていることには敬服するとも話していた。
 小林教授が話すように、現代中国の版画創作状況は大きな変化があった。竹内健太氏は版画愛好家で、芸術業界での仕事に従事しており、現在上海で文化宣伝会社を経営している。この20年の中国版画の様子について、「この20年、私は中国版画に注目してきたが、版画は中国社会同様に変化が大きく、すばらしいものだ。97年に中国へ行ったときはモノクロの木刻で白と黒のみであったが、現在は豊富な色彩で生き生きと創作されている。」と話した。東京に長く住むイスラエルの女性は、「私は芸術家ではないが、中国の版画家が心を込めて創作されているのが分かる。以前にも中国文化センターで作品を鑑賞したことがあるが、今回のレベルは高く、芸術家の表現もより自由で、アイデアも大変素晴らしい。」と話した。
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中国文化センターへ版画作品を贈呈する中国国家画院の姜陸代表

 
 確かに本展の中国版画作品は海外の来賓や観衆の心を揺さぶるもので、彼らの話と打ち解けた会場の雰囲気から、版画とは歴史の長い芸術の伝統と現代の芸術家の思想が織りなしたものであり、中国の芸術が他国で文化交流をする際、深い思いと広い視野を伝えるものであると感じた。間違いなく版画と中国芸術が持つ世界観、中国の風格が持つ文化的魅力は緊密に繋がっている。「中国風格-中国国家画院版画作品展」が世界各地で成功を収め、共感を呼んだ理由であろう。中国国家画院外事弁公室の張楠主任は、中国風格シリーズ展は2016年にはマルタ中国文化センター、モスクワ中国文化センター、欧州委員会成長総局、ルクセンブルク大学、アルゼンチン装飾美術館、シドニー中国文化センターで開催され、その現代中国の芸術作品と芸術展示等イベントは各国文化芸術界から高い評価を得ている。
 「中国風格-中国国家画院版画作品展」は日本の文芸界人士に向け現代中国芸術の創作状況を紹介し、中国の30年にわたる版画芸術発展の成果を展示している。日本国民に中国文化を理解してもらうため、同じく長い版画の歴史を持つ日本で展覧会を開催することで、友好的で芸術の雰囲気溢れる扉を開き、芸術で両国文化と友好の架け橋となっている。


期日: 2017/02/27 〜 2017/03/10
時間: 10:30〜17:30
会場: 中国文化センター
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