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 タンカとは、貴重な宝石級鉱物をふんだんに使って鮮やかな色彩で神聖な仏教世界を描く軸装された仏教絵画のことで、仏教世界の神聖さ、チベット族の独特な民族性、宗教性、芸術性を色濃く示している。中国民族の絵画芸術の中でも珍しい、チベット族の「百科全書」ともいえるタンカは、中国の無形文化遺産でもある。
 1月29日午後2時より、中国文化センターと北京吉祥大地文化伝播有限公司の共催による「中国チベットタンカ芸術展」の開幕公演が中国文化センターで盛大に行われた。本展覧では15世紀、19世紀に描かれたタンカや、会期中に完成予定の新作が出展されるなど、時代ごとの異なる画風からその歴史を伺うに足る内容となっており、非常に高水準な美術展であるといえる。
  
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古代タンカ:金剛亥母曼陀羅(15世紀)

  
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現代タンカ:九大本尊

  
 開幕公演に際して、国土交通省前地域統括官の舘逸志氏、前衆議院議員輿水恵一氏、外務省アジア太平洋局中国・モンゴル第一課地域調整官の井川原賢氏、元駐重慶日本領事館総領事の瀬野清水氏、日本中国友好協会副会長の橋本逸男氏、日中友好会館評議員兼日本卓球協会名誉副会長の木村興治氏、日中友好会館顧問の武田勝年氏、東京華僑総会会長の林斯福氏、森ビル株式会社特別顧問の星屋秀幸氏、日本きりえ協会代表の杉浦正道氏、国際交流基金企画部長の小島寛之氏など、中日各界より多くの人々が参加し、観客は100名を超えた。
 当日はテープカットも来賓の挨拶も行われなかったが、会場はチベット族文化の明るい雰囲気に包まれた。
 初めに、チベット族歌舞グループ・マジェアミの三人が主催側を代償して来賓の数名にハダを送り、来場者の幸せを祈った。ハダを送ることはチベット族最大の敬意、祝福を意味する。

  
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記念撮影

  
 その後、吉祥タンカ芸術センター創始者の王瑞氏が、タンカ及びチベット仏教について講演した。本人のタンカを追求する姿勢やその体験が織り込まれ、豊富な資料を用いた分かりやすい講義は、多くの聴衆の称賛を浴びた。
  
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タンカの講座

  
 講演のあとは、すぐにマジェアミによるチベット歌舞の公演に移行した。その澄んだ歌声は人々の心に響き、にぎやかな踊りに思わず手足を動かす聴衆も見られた。公演中にはチベット歌舞の体験を設けており、来場者から参加を募ると12名が率先して参加した。チベットの山歌と踊りを学んだ参加者たちは公演のラストとなる「鍋荘」で踊りまわりながらその成果を披露すると、多くの来場者を引き込んで踊りの輪は次第に大きくなっていき、会場全体が楽しさで満ちた。踊り終えた後、木村興治氏と王芳女史には、最も傑出していたとして、チベット文字の書法作品がそれぞれに贈られた。翌30日にも同様のイベントが行われる。
  
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チベット歌舞

  
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チベット歌舞体験

  
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チベット文字の書道作品を贈呈

  
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みんなで「鍋荘」を踊った

  
 公演後には、それぞれが思うままに展示の鑑賞や軽食交流会を楽しみ、同時に行われていた著名タンカ画家仁青才譲氏によるタンカの実演制作やチベット文字の書道を鑑賞していた。
  
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画家と日本の人々のゼロ距離交流

  
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チベット書道の実演

  
 なお、開幕の一時間前、中国ツアー客100余名の突然の来訪があり、センターを団体で参観した。このようなことはセンター設立以降初めてのことであり、中国の旅行客にとってもチベットのタンカは神秘的であり、中国国内でもなかなか見られない高水準のタンカを日本で見られるということで、突如訪問を思い立ったのだろう。
 本展覧は2月14日まで開催される。
  
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会場の様子


期日: 2019/01/29 〜 2019/02/14
時間: 10:30〜17:30
会場: 中国文化センター
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