楷書は「正書」や「真書」とも呼ばれ、書道の模範とされています。これは、五千年以上にわたる長い歴史の中で中華民族が創り上げた文化の宝であり、中国書道の中で最も一般的で、最も正統な書体です。楷書は漢代末期に隷書から発展し、魏晋南北朝を経て進化し、唐代にその絶頂期を迎え、漢字の標準字体として確立され、今日まで用いられています。
初唐には欧陽詢・虞世南、中唐には顔真卿、晩唐には柳公権、宋代には蘇軾、元代には趙孟頫などの書道大家が登場し、唐代楷書の形式を完成・発展させ、後世の楷書学習における模範となりました。
このたび東京中国文化センターにて開催される「楷書十人展」は、中華文化の精髄である楷書を広く紹介・普及させることを目的としています。より多くの日本と中国の人々に楷書の魅力と文化的価値を知っていただき、両国の文化交流を一層深める機会となることを願っています。



