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 「伝承詠春文化、架け橋構築の推進」をテーマとした講演会が、6月4日に中国文化センターで開催された。本イベントは、中国文化センター、創世紀株式会社、ならびに福建伝統詠春拳(海峡)文化発展センターの共催により実施され、中日両国の文化関係者をはじめ、幅広い層の参加を得た。哲理を内包する中国伝統武術である詠春拳を媒介として、言語や文化の壁を超える友好の架け橋が築かれ、東アジア地域における文化融合の促進に寄与するものとなった。
 
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 講演の講師を務めたのは、中国国家級無形文化遺産「詠春拳」の代表的伝承者であり、北京功夫福龍文化院の武術イメージ大使でもある鄭祖杰氏である。鄭氏は幼少より中国伝統武術を研鑽し、中央電視台の連続ドラマ『李小龍伝奇』や映画『詠春小龍』にて、武術指導および代役として出演した経験を持つ。近年では、アメリカ・ヨーロッパ・アフリカなど世界各国において詠春拳の普及と文化交流に尽力し、国際舞台における詠春拳の文化的価値を体現した。

 本講演では、「南少林に起源を持つ詠春拳」「中庸の道と代々の継承」「武を以って形を成し、世界を魅了」「無形文化遺産としての継承と発揚」「現代詠春と文化自信」「中華詠春、世界へ歩む」の6つの主要テーマに基づき、詠春拳の理論的中核が深く掘り下げられた。鄭氏は、三角理論・中線理論・結体理論・攻防同時などの武学的原則をもとに、詠春拳は単なる武術ではなく、「正心・正知・正念・正覚」の修行体系を通して、道と術の統一を目指す中国文化の精神的中軸を体現していることを強調した。
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 また、実演の部では、第九代詠春拳伝承者である鄭珊莉氏、王樹森氏、林簡氏が、「小念頭」「尋橋」「目隠し黏手」などの套路(型)を披露し、観客から大きな拍手が送られた。これにより、詠春拳が持つ実用的な美学に加え、科学的訓練システムが育む反射能力や身体制御の妙が、視覚的に表現された。

 詠春拳は福建省南少林を起源とし、創始者の五枚師太により約400年前に体系化された。その後、広東・香港を経て世界各地に伝播し、現在では70を超える国と地域で数千万人が学ぶ世界的な武術となっている。欧米の俳優や軍関係者の間でも心身鍛錬の一環として取り入れられており、複数の国の特殊部隊にも実戦訓練として導入されている。

 国家級無形文化遺産として認定された福建詠春拳は、今や中国功夫の象徴にとどまらず、「一帯一路」沿線諸国との民心相通と文化的共感をつなぐ重要な文化的媒体ともなっている。本講演の成功は、中国伝統文化の対外発信における新たな一歩であり、同時に中日間の民間交流の深化に向けた強力な推進力ともなった。

 
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期日: 2025/06/04 〜 2025/06/04
時間: 10:30~12:30
会場: 中国文化中心
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